第4分科会 「外国語教育部会」
                      岡山市立岡山中央南小学校 教諭 藤原 勇  英語を歌にのせて − Let's feel the sound of English harmony −
 
 実践の概要
  本実践は,6年生の音楽科の授業において「英語の歌を英語で歌おう」と児童に投げかけ,アメ リカ曲を英語で二部合唱をする活動を通して,英語の合唱の響きの美しさとアメリカの音楽文化に ふれる楽しさとを感じ取らせたいという願いのもとに取り組んだものである。本校の6年生児童は, 4年生時からALTとともに英語活動を重ねてきており,英語に親しみをもっている。その上で,「英 語の歌を歌ってみたい」という気持ちを高めて,「英語の歌を歌う」という目的意識をはっきりとも たせることで,より積極的に英語と向き合っていくことができると考えた。
  英語の歌詞をALTについて朗読したり歌ったりする活動は,やや高度であるという見方がある かもしれない。しかし,それらがメロディなどの音楽の流れに乗って進むとき,音楽が支えとなっ て無理のない活動になるのではないかと考えた。“エーデルワイス”は,6年生の音楽の教科書(教 育芸術社版)に,日本語の歌詞で取り上げられている。また,音楽ワーク(岡山県小学校音楽教育 研究会編)には『原語で歌おう』のコーナーに英語の歌詞が紹介されている。そこで,ALTがア メリカ人であることも考え合わせ,中心となる教材曲に選定した。英語と音楽という観点から,本 実践には二つのポイントがある。一つは,「英語の歌詞(詩)を歌う」ということ。この活動を通し て,英語のフレージングや抑揚などに目が向き,より英語らしい英語表現に迫ることができるので はないかと考えた。
  そして,「英語で歌う」というだけでなく,「英語の二部合唱で美しいハーモニーを求めていく」 というところが,二つめのポイントである。西洋の音楽は,ハーモニー(和声)を伴っていること から,日本語よりも英語等の方が響き合いやすい(よりハーモニーに適している)と言われること がある。英語の合唱の美しさを味わいながら活動することで,より音楽的な発声ができるようにな り,同時に,より英語らしい発音・発声に近づいていくのではないかという期待をしている。
   次に,国際理解と音楽という観点から,本実践の意味を考えてみたい。音楽は芸術表現の一つの 手法であることから,歴史,文化,習慣などその国の人々の生活と深く結ばれている。そして,歌 詞を伴う楽曲,すなわち歌曲においては,特にその国の言語との関係が深いと言える。したがって, ドイツのリートやフランスのシャンソン,イタリアのカンツォーネなどをその原語で歌うのと同様, アメリカのミュージカル音楽を英語で歌うことは,アメリカの音楽の本質的な部分にふれることで あり,それは,国際理解を一歩進めることになると言えるのではないだろうか。
  今年度,本校のALTはアメリカ人なので,彼を通して,アメリカンスピリッツ,アメリカの文 化,伝統などにふれるような展開へと発展させることができれば,この実践がより意義深いものと なる。
2 本論
 (1)国際理解教育の視点 異文化理解・自己の確立・コミュニケーション能力の育成
                           (中央教育審議会第一次答申)
 (2)音楽って何だろう?
   ○人間と音楽    ・生活,信仰 ・庶民と貴族 ・右脳と左脳
   ○音楽の三大要素  ・リズム,旋律,ハーモニー ・音階
    
 (3)英語の歌と日本の歌
 (4)授業実践紹介  岡山中央南小学校 第6学年